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2023.09.29
ANNOUNCEMENTHARDWARE

Quantinuumの量子コンピュータ「H1」、3つの論理エンコード量子ビットで誤り耐性アルゴリズムの実行に成功

Quantinuum、QuTech(デルフト工科大学)、シュトゥットガルト大学の学際的チームが、H1量子コンピュータを使用して、誤り耐性量子コンピューティングの顕著な進歩を実証

英国 ケンブリッジ、米国コロラド州ブルームフィールド 2023年9月28日 -医学、金融、環境など、世界で喫緊の課題に抜本的な解決策を提供し、AIの真の普及を促進する、量子テクノロジーの分野では、誤り耐性量子コンピュータが世界的な関心を集めています。しかし、このパラダイムを実現するために設定された様々課題を解決し、前進し続けるためには、大きなブレークスルーとイノベーションが必要であり、単に物理的な量子ビットから誤り耐性のある量子ビットへの移行することが求められています。

世界最大の総合量子コンピュータ企業であるQuantinuum(クオンティニュアム)のサイエンティストたちは、共同研究者とともに、最初の有意義な一歩として、ハネウェル社の技術を搭載した量子コンピュータ「Quantinuum H1」上で、初めて3つの論理量子ビットを用いた誤り耐性のある方法で数学的演算を実証しました。

誤り耐性量子コンピューティングの手法は、分子シミュレーション、人工知能、最適化、サイバーセキュリティなどの領域で、実世界の問題に対する実用的な解決への道を開くと期待されています。近年、ハードウェア、ソフトウェア、誤り訂正において重要なブレークスルーが相次いでいます。このたびQuantinuumがarXivに発表した新しい論文 "Fault-Tolerant One-Bit Addition with the Smallest Interesting Colour Code "では、これらの問題解決を前進させ、進歩のスピードが増していることを反映しています。

多くの企業や研究グループが、量子コンピュータが演算を行う際に自然に発生するノイズを処理することで、誤り耐性を実現させるため努力しています。Quantinuumは量子コンピューティングにおいて実績があり、2つの論理量子ビット間のエンタングルゲートをリアルタイム誤り訂正を使って完全に誤り耐性のある方法で実証したり[LINK]、2つの論理量子ビット上で水素分子をシミュレートしたり[LINK]といった、これまでにない成果を上げています。

今回、論文を発表した研究チームは、既知の誤り耐性回路の中で最も小さい回路を使って1ビットの加算を行うことで、符号化されていない回路では約9.5x10-3 であったのに対し、約1.1x10-3 と、ほぼ1桁低いエラー率を達成しました。このエラー抑制は、QuantinuumのHシリーズ量子コンピュータで使用されている量子電荷結合素子(QCCD)アーキテクチャーの物理エラー率によって可能になりました。このエラー率は、誤り耐性アルゴリズムが実現可能な範囲です。

Quantinuumの最高製品責任者兼創設者であるイリアス・カーン(Ilyas Khan)は「量子コンピュータの黎明期に何が可能かを示す証拠を量子エコシステムに提供し続けることに加え、今回の論文はその独創性でも注目に値する結果を実証しました。当社のHシリーズのイオントラップ・アーキテクチャは、最も低い物理エラー率を提供し、量子ビット・トランスポートに由来する柔軟性があるため、Hシリーズのユーザーは、より幅広い誤り訂正コードを実装することができます。我々のハードウェアの品質と実世界で意味のあるタスクをリンクさせながら、今後さらに重要な計算の進歩に注目してほしいと考えています」と述べました。

低オーバーヘッドの論理クリフォードゲートと3次元カラーコードの横方向CCZゲートを組み合わせることで、研究チームは1ビットの加算に必要な2量子ビットゲートと測定の数を1000以上から36に減らすことができました。

Quantinuumのシニア・リサーチ・サイエンティストで、この論文の主任研究者であるベン・クリガー(Ben Criger)は「今回我々が実証したCCZゲートは、ショア(Shor)のアルゴリズム、量子モンテカルロ、トポロジカルデータ解析、その他多くの量子アルゴリズムにおいて重要な要素です。この結果、誤り耐性量子コンピューティングに不可欠な、状態準備、クリフォードゲート、非クリフォードゲート、測定のすべてを、実際のハードウェアで実行できるようになったことを証明するものです」と述べています。"

Quantinuumについて

Quantinuumは、Honeywell Quantum Solutions のハードウェアと Cambridge Quantum のミドルウェアおよびアプリケーションを併せ持つ世界最大級の統合型量子コンピューティング企業です。科学主導で事業を展開し、量子コンピューティング、化学、サイバーセキュリティ、金融、データ処理の最適化などのアプリケーションを開発しています。エネルギー、物流、気候変動、健康を含む多様な分野で、世界問題を解決するための拡張性のある、商業向け量子ソリューションの開発に重点を置いています。米国、欧州、日本の拠点で、350 名以上の科学者を含む 480 名以上の従業員が研究、事業開発に取り組んでいます。詳細は、http://www.quantinuum.comをご覧ください。

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